プロ野球FA移籍で「人的補償」になった選手の活躍度

 5月10日、横浜DeNAの平良拳太郎投手(21)がナゴヤドームでの中日戦に先発し、5回を1失点で抑えてプロ入り初勝利をあげたことが大きな話題となった。

 プロ入り初勝利はフレッシュな出来事だし、スター候補誕生の可能性もあることから、それなりのニュースにはなるが、大きな話題となったのは、それとは別の理由があった。平良は昨オフ、フリーエージェント(FA)でDeNAから巨人に移籍した山口俊投手(29)の人的補償で加入した選手だったからだ。

FAで出て行った選手の
代わりに加入「人的補償」とは

 NPBのFAを大雑把に説明すると、1軍で8年間プレーした選手は、どの球団とも契約交渉できる権利が与えられるという制度。プロ入り時はドラフト制の縛りがあって希望球団を選ぶことはできないが、所属した球団で一定期間活躍をすれば自由な立場になり、プレーする球団を選べるようになるわけだ。

 そうはいってもFA権行使選手が所属した球団からすれば、戦力だった選手がいなくなるのは大きな損失であり、それを補うための補償も制度化されている。FAで選手を獲得した球団は前所属球団に金銭補償か人的補償(金銭補償含む)をしなければならないのだ。

 人的補償の場合は、出せない選手28人をプロテクト。人的補償を求める球団は、そのリストから外れた選手の中から実力を品定めし、自球団の戦力になりそうな選手を獲得する。

 FA権を行使する選手は実績を積み重ねてきた実力者。一方、人的補償の対象者はプロテクトリストから外れていることでも分かるように、まだ実力が開花していない若手や伸び悩んでいる選手、あるいは年齢的に峠を越えたと見られている選手が多い。なにがしかの金銭補償はプラスされるとはいえ客観的に見て、釣り合いの取れた補償とはいえないわけだ。