NRC安全基準への対応

 こうした山積する問題の一方で、新規の原子炉に対して厳格な要件を課してきたNRCも、ある程度、WHの足を引っ張ったと言える。要件を遵守するため、WHは設計変更を行った。いくつかは小手先の修正にとどまったが、大幅な変更もあったという。

 たとえば、NRCはジョージア州の原発について、運転許可を事業者に発行するためには、放射能漏れを防ぐ建屋の設計を変更すべきだと要求した。建屋には民間ジェット機の激突に耐えられる強度が必要だと主張したのだ。これは2001年9月11日に発生した米同時多発攻撃をきっかけに生まれた安全対策だ。

 WHが設計承認を申請した7年後の2009年、NRCは新たな安全基準を発表した。裁判所に提出した破産申請書類のなかでWHは、NRCからの要求によって、予期せぬエンジニアリング上の課題が生じたと述べている。

 NRCの広報担当スコット・バーネル氏は、NRCでは数年にわたって厳格な安全基準について言及していたため、基準の変更はWHにとって予想外ではなかったはずだと反論する。

 ジェット機の衝突から原子炉を守るためにWHが設計を変更すると、今度は、新たな設計が竜巻や地震に耐えられるかどうかをNRCは問題視した。ジェイコブス氏の報告によれば、WHがようやくNRCの要件をクリアしたのは2011年のことだ。

 破産申請の提出書類によれば、2016年までにようやくWHも自身が抱えるジレンマの大きさに気づきはじめた。WHとしては、2つのプロジェクトを完成させるには数十億ドルを投じて苦労を重ねることになり、放棄するにしても数十億ドルの違約金が科されることになる。

 どちらを選ぶ余裕もない、というのがWHが下した決断だった。

(Tom Hals and Emily Flitter 翻訳:エァクレーレン)