先日泊まったアムステルダムのホテルのフロント係は、常にジョークを言い続ける陽気な中年男性だった。しかし、オランダの若い女性客は笑っていなかったので、日本でいうところの“おやじギャグ”らしい。そのホテルで大手紙を眺めていたら、奇妙な写真が目に入った。スーツ姿の男性が大きく拡大コピーされたかつてのギリシャ・ドラクマ紙幣を持っている。男性は右翼的な過激な言動でいつも物議を醸している自由党党首のヘルト・ウィルダースだった。

 敵が多い彼は自宅の場所を誰にも知らせず、いつもボディガードを側に置いているという。この写真は、「ギリシャはユーロから出て行け」という彼のキャンペーンを表していた。そのホテルマンは、「ウィルダースの普段の主張は支持しないが、この問題は共感できる。どうしてわれわれがギリシャにカネをやらなくちゃいけないんだ」とジョークをやめて真顔で話していた。続けて彼にユーロに対する印象をいろいろ尋ねてみた。

「ユーロの枠組み全体を壊すことはいまさら不可能だと思っているが、ユーロになってからインフレがひどくなった」