短時間にサッと食べることが出来て、バリエーションも豊富。ビジネスマンをはじめまさに老若男女に愛されてきた丼。そんな丼が最近、ますます進化している。老舗から有名料理人が手掛ける店まで、個性が光る、今注目の丼を紹介しよう。

鳥しき Torishiki 目黒 親子丼

最高の焼き鳥を〆る親子丼。

 2カ月先まで常に予約で満席という人気焼き鳥店。コースの〆に用意されているのがこの親子丼だ。「〆丼なので鳥肉を閉じ込めた卵掛けご飯という軽い感じです」と店主の池川さん。美味の秘訣は出汁に焼き鳥用のタレを加えることと、“日本一こだわり卵”を使用すること。卵白と卵黄を分けて入れ、生、半生など様々な卵の状態を楽しめるのも特徴。

親子丼“箸が止まらぬほど旨い丼”とも言われる『鳥しき』の親子丼。鳥スープ、香の物付き1000円(税込み)

もりもりと平らげる
これぞ丼の真骨頂なのだ

 丼とはそもそも、白飯に他の料理を盛る料理。米と相性のいい料理を嗜好する人にとって、これほど手軽で愛すべき料理もないだろう。手早くお腹を満たせる合理性も手伝って、明治時代には牛丼や親子丼が、大正時代にはかつ丼が登場する。つまり丼とは日本人にとって究極の国民食といってもいいかもしれない。

 グローバル時代でも丼の存在感は大きい。現代のグルメ市場で丼は“ジャパニーズ・ライスボウル”と呼ばれるように。外国人をもとりこにする料理なのだ。

「鳥しき」が提案する丼は“卵の七変化を楽しむ丼”だとか。卵白と卵黄、凝固点の違う卵の特性を使い分けているため、驚くほど味に多様性と深みが出る。食感も豊かだ。いっぽう現代性を加味した丼といえば「数寄屋橋茶房」の牛丼がよい。牛肉に赤ワインを合わせて従来にない美味を追求しているのだ。

 ここで取り上げたのは従来の丼の主役である食材を、さらにおいしく昇華させたものが多い。

 シンプルが故に飛躍の可能性は大きい。世界的に愛される資格充分の“新東京スタイル”の丼5傑をぜひ食べていただきたい。

店主 池川義輝さん「完成までわずか3分くらいです」 と店主の池川義輝さん

鳥しき
鳥しき
東京都品川区上大崎2-14-12
TEL: 03-3440-7656
18:00~23:00
月祝休

親子丼1000円は焼き鳥コース(平均7000円~8000円)とともに注文できる(すべて税込み)