第一生命保険のシンクタンクである「第一生命経済研究所」は6月、「上場企業109社の人事部長に聞いた『企業における仕事と子育ての両立支援に関するアンケート』」の結果を発表した。急速な少子化の進行等にかんがみ、2005年に施行された次世代育成支援対策推進法以降、企業による仕事と子育ての両立支援はどのように進んでいるのだろうか。

 調査は、2005年9月~2010年9月に、上場企業の人事部長を対象に実施。従業員数301人以上の全上場企業の中から無作為に抽出した2000社(2010年は2100社)に対しアンケートを行い、2005年は113社から、2010年は109社から回答を得た。調査方法は郵送配布・郵送回収。

 また、個人への調査として、25~44歳で、0~6歳の子どもを持つ女性正社員150人、女性非正社員150人に対してインターネット調査を実施。調査はクロス・マーケティングが同社のモニターに対して行った。調査時期は2010年9月。

男性の育休取得が急増
事業所内託児施設は普及せず

 調査に寄れば、両立支援策の実施率は「育児休業法を上回る育休」(2005年:36.1%、2010年:56.0%)、「男性の育休取得(取得者1名以上)」(同:8.0%、同:48.6%)など、軒並み上昇。「女性の育休取得率70%以上」(同:32.4%%、同:79.8%)、「短時間勤務制度」(同:26.6%、同:75.2%)、「ノー残業デーの導入など、所定外労働の削減措置」(同:36.6%、同:71.6%)は特に高い伸び率を見せた。逆に伸び悩んだのは、「事業所内託児施設」(同:2.7%、同:3.7%)、「テレワークの導入」(同:1.8%、同:3.7%)。

 また、今後優先して実施していきたい項目としては、多いものから順に「年次有給休暇の取得を促進させるための措置」(42.2%)、「ノー残業デーの導入など、所定外労働の削減措置」(40.4%)、「男性の育休の取得」(29.4%)だった。

 この5年間で、両立支援のための企業の取り組みが前進していることがわかる結果となった。ただ、制度があっても、実際に社員が利用できる雰囲気が社内にあるかどうかは別問題。「年次有給休暇の取得を促進させるための措置」の優先度が相変わらず高いことからも、両立支援策への理解が完全ではないことが伺える。

 実際、子どもを持つ女性正社員・女性非正社員へのアンケートでは、その利用率は高いとは言えない。「育児休業法の期間を上回る育休」が17.7%、「短時間勤務制度」が9.3%、最も多かった「ノー残業デーの導入など、所定外労働の削減措置」でも24.7%で、利用率が4分の1を超えたものは1つもなかった。