期待の新型旅客機

 7月3日、全日空が、報道陣に向けて、米国ボーイング社製の最新鋭旅客機ボーイング787を羽田空港で公開した。

 ボーイング787は、席数200~300程度の中型旅客機で、主として現行のボーイング767と置き換えられるが、燃費が2割、航続距離が3割改善しており、今後、全日空の国際線ビジネスの強化に資することが期待される戦略的に重要な機種だ。置き換えが全て完了すると、同社の燃費は年間100億円程度改善すると期待されている。

 航続距離の長さから従来の中型機では難しかった米国東海岸や欧州などへの就航が可能だし、中型機で採算を取りやすいので、多くの就航先が想定できる。

 全日空は、ボーイング社が受注した835機中の55機を発注しており、今年度14機、来年度に10機の導入を予定している。

 日本航空も35機発注していて、今年度は5機の導入を目指すとしており、来春には成田-米ボストン線に就航させることを明らかにしている。

 ボーイング787の開発・製造過程は必ずしも順調であったわけではなく、当初予定を3年以上超過しており、途中、開発担当の副社長が更迭されている。全日空でも、北京オリンピックに合わせた北京行きの便への就航を予定していたが、間に合わなかった。それでも、同機のセールスは順調で、受注数はボーイング社の過去最高を大きく更新している。

 787は、ハブ空港間を大型機で結んでハブ空港から目的地までを中小型機に乗り換える「ハブ・アンド・スポーク」型ではなく、目的地同士を直接結ぶ「ポイント・トゥ・ポイント」型の就航に適している。乗り換えの面倒がない点は、特に日本の顧客には好まれるのではないだろうか。全日空に納品される機種には、ウォシュレット付きのものもあるという。