松本前復興相の辞任や停止中の原発の再稼働を巡る混乱など、政治的な混乱から菅政権の限界が露呈していますが、既に政策面でもこの政権の限界が明らかになっていることをご存知でしょうか。その典型例は先月下旬に公表された復興構想会議の提言です。

3つのポイントから見た
復興構想会議の提言の問題点

 菅政権は、政策面では基本的に官僚依存の政権なのですが、それがもっとも如実に現れているのが、復興構想会議の提言だと思います。

 この報告書は、最初の前文は同会議の委員が書いたであろう文学的な表現になっていますが、本論は霞ヶ関文学の羅列になっているからです。

 前例主義で新しい政策をやりたがらないというのが官僚の行動原理ですので、この手の政府の報告書を読み解く場合、3つのポイントから精査すると、政治や民間(委員)がどの程度中身に関与して官僚と戦ったかが分かります。

その3つのポイントとは、
① 政治のリーダーシップ、議長のブレークスルーがあるか
② 官僚がやりたくないことがどの程度さらっとした表現になっているか
③ 官僚がやりたいことをしのばせていないか

です。

 このポイントから見てみると、①がどの程度盛り込まれているかがもっとも重要ですが、残念ながらこれは一つしかありません。水産業への民間企業の参入です。宮城県知事が主張して入ったものですが、これは官僚の側からはなかなか出て来ない、まさにブレークスルーの一つです。

 ただ、これは②とも関連しますが、その内容については「地元漁業者が主体的に民間企業と様々な形で連携できるよう、仲介・マッチングを進めるべきである」など、非常にさらっとした表現になっており、残念ながら官僚の壁を十分には超えられなかったことが伺えます。