フィットネスのカーブス、幽霊会員をつくらずに収益を生む「逆転の発想」中高年女性にターゲットを絞り、主婦の生活圏へ出店する方針で業態を拡大してきたカーブス。従来のフィットネス業界の慣習とは異なる独自ビジネスモデルの「強み」とは?

 カーブスは、女性専用の健康体操教室である。1回30分で終わるサーキットトレーニングであり、プールもスタジオも風呂もない。2005年に日本で1号店が開店し、2017年5月には1791店、会員数は80万人を越えた。そのビジネスモデルは、他のフィットネスクラブにはない唯一無二のものである。

「3つのM」を教室からなくした
カーブスのフィットネス

 カーブスは米国で1992年に設立された。創業者は実母を生活習慣病で早く亡くし、治療だけでなく、予防の重要性に目覚めた。そこで一般的なフィットネスクラブを立ち上げたがうまくいかず、1992年に女性に特化したカーブスを設立した。女性に絞った理由は、男性が運動する場は多いが、女性が運動する場が少ないからであった。

 カーブスのコンセプトは「運動習慣を広め、豊かな人生と社会の問題を解決すること」である。カーブスは「3つのM」を教室からなくした。「No Men」「No Make-up」「No Mirror」である。

「No Men」に関しては、男性の目を気にせずに運動でき、スタッフも全員女性である。「No Make-up」はメイクする手間が要らず、手軽に通えるという意味と、化粧が落ちるほどの汗はかかないという2つの意味がある。そして教室に鏡がない「No Mirror」は、自分の体型を気にせず、運動に集中できるからである。カーブスという名前は、女性の曲線美から名付けられた。

 カーブスは米国に1号店を開いた後、1999年にカナダに出店し、その後、メキシコ、英国、ポルトガルなどにも進出し、アジアでは2007年に韓国、台湾、香港に出店し、2009年には中国、2010年にインドに出店した。

 こうして現在では、世界80ヵ国を超える国と地域に展開している。

 日本では2005年にカーブスジャパンが設立され、フランチャイズで展開することになった。日本ではターゲットを、「50歳代以上の主婦」と定めた(米国では肥満の問題から、もう少しターゲット年齢が若い)。

 50歳代以上の主婦をターゲットと決めたため、立地のポリシーも主婦が通いやすい場所、すなわち主婦が生活する場の近くになった。カーブスでは週2~3回通うことを推奨しており、そのためにも、近くに立地することが必要であった。