「同一労働同一賃金」は正社員の給与引き下げ圧力になる

 政府の働き方改革政策は、「同一労働、同一賃金」を目標として掲げている。

 正規労働者と非正規労働者の給与にきわめて大きな差があるのは事実だ。

 ただし、これは正規・非正規という雇用形態の差だけに起因するというよりは、仕事の内容の差に起因すると思われる。

 これだけ大きな格差を、正規・非正規という区別をなくすだけで解消するのは困難だ。強行すれば、正規労働者の給与引き下げ圧力になりかねない。

 労働者の側でも、1つの企業に頼り切るのでなく、複数の企業で兼業したり、フリーランサーを目指したりするなどの対応が必要だ。

非正規の比率は4割弱に
女性では大半の年齢層で5割超える

「同一労働、同一賃金」とは、「職務内容が同一または同等の労働者に対し、同一の賃金を支払うべきだ」という考え方だ。

 2016年12月に公表された「働き方改革」に関する政府のガイドライン案では、「基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない」としている。

 そして、正社員と非正規社員で待遇差をつけるのが不合理か否かについて、基本給や賞与、各種手当など、対象を細かく分類したうえで、具体的な例を示している。

 正規・非正規雇用の定義と現状はこうだ。

 労働力調査によると、2017年2月において、「役員を除く雇用者」5402万人のうち、「正規の職員・従業員」は3397万人(62.9%)、「非正規の職員・従業員」は2005万人(37.1%)だ。