良質な脂質がもたらす健康効果
メカニズムが不明な点も

 実際のところ、これらの脂肪は「摂りすぎると危険」ということはあるのだろうか。

『日本人なら知っておきたい「異所性脂肪」の恐怖』(ワニブックス)の著者で、九州大学大学院医学研究院の小川佳宏教授は、「どの種類の脂肪をどの程度とるかは、年齢・性別・体質などによって変わってくるので、良質な脂肪と言われているものでも10人中10人に効果があるとは限らない」と話す。

「たとえば、青魚などに含まれる油(EPA、DHA、オメガ3系)は血液をサラサラにする働きがあると言われていますが、その成分が濃縮されたサプリなどを高血圧や糖尿病の患者が摂り過ぎると、脳出血を起こすこともあります」(小川氏、以下同)

 青魚の油のほか、オリーブオイルを始めとする他の「良質な脂肪」についても、摂りすぎると逆効果な人は存在するのだろうか。小川氏は「実は、まだ明確な基準は判明していない」と言う。

「オリーブオイルやココナッツオイルといった脂肪の健康・ダイエット効果については、様々な実験や観察事実が報告されています。しかし、なぜこのような効果が得られるのか、十分なメカニズムは分かっていないのが現状です。そのため、長期的に大量にこれらの脂肪を摂取することで、どのような影響が出るのかも定かではないのです」(同)

「良質な脂肪」も、その効果とメカニズムについては研究途上。私たちはまだ解明されていない食材について、当たり前のように「体に良い」と思い込んで購入していたのだ。

「もちろん脂質は体に必要な栄養素ですし、質の良い油を摂ることも大切です。しかし、ひとつの食品を過剰に取れば、他の栄養素が不足する可能性もあります」(同)

 過ぎたるは及ばざるが如し。メディアの宣伝を鵜呑みにして、そればかりを口にするのは少々早計かもしれない。