日本産の「ジン」が海外でブームになると言われる理由

ジャパニーズウイスキーが国際的に高く評価されるようになって久しい。海外のコンペティションでも数々の賞を重ね、世界中の愛好家から注目される存在となった。そんなジャパニーズウイスキーの代名詞ともいえるサントリーとニッカが今年、相次いでプレミアムジンへの参入を発表。両社とも、山椒や柚子など日本ならではのボタニカル(植物)を使った「ジャパニーズジン」をこの夏発売し、海外展開も視野に入れる。「ジャパニーズウイスキー」に続き、「ジャパニーズジン」が世界を席巻する日は来るのだろうか。(ジャーナリスト 芳賀 真)

2017年は
日本の「クラフトジン」元年

 サードウェーブコーヒー(厳選された豆で一杯ずつ丁寧に入れるコーヒー)からクラフトビールまで、小規模生産者がつくる「クラフト」なプロダクツが話題を呼んでいる。「クラフト」に明確な定義はないが、マスプロダクツとの違いは単に生産量だけではなく、造り手の「こだわり」や「個性」といった意味合いで使われることが多い。大量生産された「工業製品」へのアンチテーゼとしての「クラフト」、つまり職人の技術力や品質へのこだわりといったコンセプトが、今の気分に刺さるのだろう。

 世界的なクラフトムーブメントの中で、次に注目されているのが「クラフトジン」だ。イギリスでは、2009年創業の「シップスミス」が伝統的な銅製小型蒸留器を使用し、スモールバッチ(少量生産)でジンの生産を始めて大ヒット。その後クラフトジンが世界的なブームとなり、新規参入者が急増している。

 そんな中で、日本でも昨年10月、岡山「宮下酒造」が国内初の試みとなる樫樽貯蔵の「クラフトジン岡山」を発売。同月、日本初のクラフトジン蒸溜所「京都蒸溜所」が製造する「季の美 京都ドライジン」が発売になった。今年4月には、焼酎大手の本坊酒造がジャパニーズジン「和美人」を発売。さらに、サントリーとアサヒが相次いでクラフトジンへの参入を発表し、6月末にはアサヒから「ニッカ カフェジン」が、7月にはサントリーから「ROKU」(ロク)が発売となる。