前回は、日本企業を取り巻くメガトレンドと、それがどんなビジネス・チャンスをもたらすのかを考えてみた。メガトレンドは「人口」「環境」「グローバリゼーション」の三つ。これを受けて、今回は注目される企業を概観してみよう。注目点は、規制の変化とアライアンスである。

 まず、そのヒントを与えてくれるのが株式市場だ。株式市場は時にしてバブルを起こすが、それは将来の成長産業、有望企業に、おカネが集中して投資されるからでもある。FPアソシエイツ&コンサルティングのエグゼクティブディレクターの福田啓太氏は、長期的にみれば、バブルは将来の先行指標だという。「バブルにはそれなりの理由がある。一度、弾けるけれども、その後、現実化する」。

 日本の株式市場の時価総額上位10~20社を、10年前と比較すると、ほとんど変化がない。残念なことに、そこに日本産業界の新陳代謝が停滞している姿が、映し出されている。これに対して、目を世界に転じれば、実にダイナミックな変化が起こっている。

 世界の株式時価総額(発行済み株式数X株価)の上位20社を見てみると、中国(香港を含む)企業の躍進が目立つ。ペトロチャイナ、中国商工銀行など6社が名を連ねている。これに対し、米国企業が後退したことも特徴である。米国企業はエクソンモービルなど、8社がランクインしているものの、2000年時点では、中国企業は1社も20位以内に入っておらず、米国は実に13社がランクインしていた。米国発の金融危機を境に、まさに様変わりの感がある。

 日本企業はといえば、残念なことに、カヤの外だ。2000年時点ではNTTドコモとNTTが20位以内に入っており、2000年代前半には常に、20位以内に踏みとどまっていたトヨタ自動車も、世界同時不況の荒波にのまれて、圏外に去った。いま日本企業が持つべきは、日本企業に対する世界の評価が急低下していることへの危機感だろう。

 もう一つの大きな特徴が、資源・エネルギー関連の企業が、20以内に7社も入っていること。前述の2社のほか、ペトロブラス(ブラジル)、BP(英国)、BHPビリトン(英国・豪州)などが、名を連ねている。これも2000年とは様変わりである。2000年では、GE、インテル、マイクロソフト、シスコシステムズ、オラクル、IBMなど、米国のIT系企業がずらり顔をそろえていた。