2つめが、卒業後、すぐに役立つ授業だ、と感じていること。この授業で得られるのは瞑想のスキルだけではありません。クラスメートとの深い信頼関係、失敗への耐性なども得ることができるのです。スタンフォードの多くの学生は卒業後、「世界を変えること」を使命として、様々な業界で活躍していくこととなりますが、それには、卒業生同士の信頼関係や失敗への耐性は不可欠なのです。変化を起こす、というのは大変なことで、不安がつきものですが、そういうときにどう自分で自分に対処したらいいか、ということも、この授業では学べます。世界を変えたいと思う学生が、その精神的な準備をするための授業と言ってもいいかもしれません。

佐藤 「マインドフルネスと思いやりのリーダーシップ」とはあまり耳慣れない科目名ですが、どのような内容を教えているのですか。

ワイス 授業は毎回4つの要素で構成されています。1つめが科学的な研究結果。学生は、マインドフルネスや共感力がなぜリーダーにとって役立つのかについて、科学的根拠をもとに学ぶのです。2つめが瞑想。3つめが演習。彼らが卒業後、職場ですぐに実践できるような演習です。そして4つめがディスカッション。毎週同じグループで、その週の議題についてディスカッションします。

佐藤 どのようなテーマを取り上げますか。

ワイス 授業は、マインドフルネス、コンパッション(他人を思いやること)、セルフコンパッション(自分を思いやること)という3つの概念について、様々なテーマをとりあげます。たとえばマインドフルネスはどのように仕事の生産性を高めるのか。思いやりを持つことは、リーダーにとって強みになるのか、弱みになるのか。他人に思いやりを示すことがなぜ利益につながるのか。マインドフルネス瞑想、コンパッション瞑想はどういうときに実践すると効果的なのか。どのようなセルフコンパッション瞑想を実践したら、失敗から立ち直れるのか。このようなテーマについて、理論と実践の両方の側面から学んでいくのです。

佐藤 まさに自分を知り、自分を鍛えるための授業ですね。