入社してすぐに始まった
課長のパワハラ騒動

「社長、もう私やってられません!A田さんの私に対する態度がひどすぎます!あれはパワハラですよ!」

 A田が入社して1ヵ月ほど経った頃、経理のB美が、社長にA田の言動について訴えてきた。B美の訴えによると、A田は、入社してすぐに「この会社は資料もグチャグチャだし、事務処理も滅茶苦茶だ。前任者は何をしていたんだよ!?」などと、経理課の業務について愚痴をこぼすようになった。

 その上、B美に対して、「経理に5年もいたのに、仕事について全く理解していない」「仕事ができないのだから、残業申請なんてするな!」「昼休みも削って働くのは当然だ」「休日に出勤して資料の片づけをしろ。ただし、休日出勤の申請はするな!」などと、とんでもないことを言い出す始末。寝耳に水の社長は、驚いて真相を確認すべく、A田を呼び出した。

「A田君は、他社での経理経験もあるし、いろいろとうちの会社のやり方で、目につくところはあるだろう。改善すべきところは是非とも積極的に意見を言ってほしいと思っている。ただ、「残業申請するな」とか「昼休みも削って仕事しろ」ってB美さんは言われたというのだが、本当か?もしそうだとしたら、コンプライアンス上、問題があるぞ」

 A田は、社長からそう言われると、目を泳がせ、顔に汗をかきつつ、言い訳をした。

「いや、えーと……。私はそんなことは言っていません。ただ、B美さんが仕事中もずっと他の社員とおしゃべりをしていたり、会社や社長の悪口を言っているのは、良くないと注意はしました。その際に、「そんな話は仕事中じゃなくて、昼休みに外でしたらいい」とは言いましたが……」

「え?B美さんが会社や私の悪口を?」

「はい!とにかく社長をはじめ、会社の悪口ばかり言っているので、注意しました。B美さんは会社の空気を悪くしていると思います。私は、少しでも会社を良くしたいと思っています。とにかく、B美さんと前任の方の仕事がいい加減で、データも資料も滅茶苦茶なので、私は休日返上でしばらく働きたいと思います。もちろん、休日手当はいりません。管理職として当然の仕事だと思っていますので……」

 社長は、B美が会社や自分の悪口を言っているということにショックを受けた。一方で、A田が会社のためを思って、B美に指導してくれているのだと思い、頼もしく思った。