歓迎会後に暴露された
課長のセクハラ事件

 そんなある日、A田の歓迎会が行われることとなった。管理部を中心に、15名程度の社員が参加した。社長はA田と席が離れていたが、時々、A田の様子を見ると、楽しそうに酔っ払っており、(少しは会社になじんだかな……)と一安心していた。

 ところが翌朝、経理のB美と総務のD子が社長室に来て、驚くべきことを報告してきた。

「社長、昨日の歓迎会で、A田さんがすごいセクハラをしていました。私も見ていましたが、あれは、ひどいです!」

 B美が続けて報告するところによると、

「D子さんは、とても美人だから、モテるでしょう!」
「私は人妻が好みだ」
「D子さんみたいな人と付き合いたい。D子さんなら人妻でもOKだ」

 などと、D子に言い寄って、D子の手を握ったりもしたそうだ。

「まぁ、A田さんも酔っ払っていたとは思いますが、私も困るので、社長からやんわりと諌めてもらえますか?大ごとにするつもりはないのですが、不快ではあるので……」

 とD子。「社長から一言注意してくれれば、それでいい」と言っていたが、B美は「同じ女性としてA田は許せない。最低だ!」とかなり怒っている。

 社長は早速A田に確認したが、「酔っ払っていて覚えていない。もしそんなことを言っていたのなら、D子さんに申し訳なかった」と言うので、口頭で注意するにとどめた。

ついにB美が退職、
課長の本性が暴かれる!

 そこから、A田とB美の折り合いは目に見えて悪くなり、ほとんど口をきかなくなった。

 御気楽商事では、毎月1回経理課で試算表を作成する業務がある。前任者はB美と2人で手分けして作成していたのだが、A田は、それをB美の業務だと言って自分は一切行わない。B美がそれについて不満を言っても、「自分は管理職として採用されたのだから、実務的なことは部下がやるべきだ」と言って取り合わない。

 B美は、A田の言動についに我慢ができなくなり、「退職する」と社長に申し出てきた。

「社長は、A田さんの本性を分かっていません。あの人は、経理の仕事なんて全くできませんよ。それに、社長の前ではいい顔をしていますが、陰では、社長と会社の悪口ばかり言っています。A田さんを辞めさせないなら、退職します」

 社長は何とか思いとどまるように説得したが、「A田さんを辞めさせないなら私が辞める」と言って、退職してしまった。

 B美の退職が決まってから、慌てて人材募集をかけたが、なかなか応募がなく、A田の業務量も増えていった。そんな中で、試算表作成の時期になると、A田は、「腰痛がひどくて会社に行けない」などと言って休むようになった。社長が試算表を早く出すように督促すると、「他の急ぎの業務があって手が回らない」などと言って、はぐらかす。