神戸では異なる医療機関で、それぞれ母親は寝たきりのまま1年8ヵ月後と1年後に死亡し、その内1件は子どもも寝たきりになっています。大阪の事例も、事故後から母親は寝たきりの状態になり約10日後に死亡しました。

 これら6件の事故で合計、5人の母親と4人の子どもが重篤な被害に遭ったわけです。

 さて、「妊産婦死亡率」とは出産後42日以内の死亡数をカウントすることになっています。ということは、上記の5人の母親の被害の内、カウントされるのは、約10日後に死亡した大阪のケースのみです。ところが、この大阪のケースも、日本産婦人科医会の妊産婦死亡の報告制度に報告されていなかった、と報道されています。

 出産後何日か経って死亡する際には、何らかの病名がつけられ、出産の事故との関係はわからなくなってしまうことも少なくないということだと思います。

 実際、2008年のNHKニュースでも、「厚労省の研究班の調べで、妊娠や出産で亡くなる女性は公表されている人数より35パーセント多いことがわかった。妊娠や出産にともなって脳出血を起こし産婦人科以外の診療科に移された経過が報告されていなかったため」という報道もありました。

海外に比べ
死亡率が低くなる理由

 一方、子どもの死亡率を見る「早期新生児死亡率」と「周産期死亡率」は、生後1週間以内の死亡数をカウントし、「新生児死亡率」は生後4週間以内の死亡率をカウントすることになっていますので、やはり、上記の4人の子どもの被害は、いずれもカウントされないことになります。

 このように、日本は海外に比べ、寝たきりの植物状態のままの延命治療が長く続くことが多いので、一定の日数の範囲内の死亡をカウントする死亡率は低くなりやすいのです。

 また、生後1年以内の乳児死亡ではその4分の1の原因が出産に伴うものだ、という統計もありますし、国立保健医療科学院の研究報告によると、1歳から4歳の疾患による死亡率は、日本は先進13ヵ国中最高になっています(上記の京都の事故で死亡した子どもも3歳でした)。その原因は、肺炎による死亡数が突出して高いからなのですが、出産時の事故で寝たきりの重度の脳性マヒになった子どもが死亡する際にも、死因は肺炎になることが多いのです。