みずほ佐藤社長が語る「異能経営者」との交流術Photo by Kazutoshi Sumitomo

「お堅い」銀行業界にありながら、国内外のアクの強い多くの企業経営者との親交も深い、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長。異なるバックグラウンドの彼らと、腹を割って話し合える秘訣は、どこにあるのだろうか?(聞き手/ダイヤモンドオンライン編集長 深澤 献)

人脈形成の要は
「聞く力」にある

――前回(「みずほ34歳支店長が象徴する銀行らしからぬリーダー育成術」)、銀行の経営者に必要なのは、金融の知識もさることながら、「相手に対するエンパシー(共感)、想像力を持って接する力」だとおっしゃっています。佐藤社長は、ソフトバンク社長の孫正義さんや鴻海精密工業(ホンハイ)会長のテリー・ゴウさんなど、いわゆる「アクの強い」と言われる創業者たちとも積極的に交流されていることが知られていますが、やはり聞く力を培ってこられたからなのでしょうか?

佐藤 経営者の方々との個別のお話は控えますが、ありがたいことに、仕事柄、多くの企業の創業者の方々とお付き合いさせていただいております。皆さんそれぞれ創業された会社を大変なご苦労をされて大きくされてきた方々ですから、そうした方々と交流するにあたっては、金融の知識や産業知見だけではなく、「聞く力」、すなわち、お客さまと同じ目線でものごとを考えることができるか、そして共感する力があるかどうかが、極めて大切なことと考えています。
 
 一代で会社を大きくされた創業者の方々は、大なり小なり、波乱万丈の生い立ちや壮絶な経験をしてきた方も多いのではないでしょうか。一方、多くのビジネスマンは、勉強して大学を出て、最初から組織人として会社に入る。どちらが良い悪いじゃないけれど、与えられた環境の中で、どう自分を作り上げてきたかという本質的なところが、まったく違うように思います。

 しかしながら、私は彼らほどの壮絶な人生は経験してこなかったかもしれませんが、彼らの経験に対して感動すること、共感することはできます。どれだけこうした「エンパシー」を持てるかどうか。結局は役職や会社のタイトルではなくて、1人の人間として、色々な経験をしてきた相手と正面から対峙し、会話するということなのだと思います。ここが欠けていると、深いお付き合いはできないのではないでしょうか。