世界経済が好調さを維持する中、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策正常化への追い風が吹き続けている。

 中国の2017年第2四半期のGDP(国内総生産)は前年比6.9%増と市場予想を上回り、これが欧米の当局者の強気な経済見通しと出口政策進展のよりどころの一つとなっている格好だ。

 政策金利を1%台に乗せることに成功したFRBは、この追い風の中で巨大化したバランスシートの縮小開始も視野に入れ始めた。

 バランスシート縮小ペースを極めて緩慢なものとすることで、そしてそれを市場に織り込ませることで長期金利の急騰を抑えるとの自信も見え隠れし、早ければ9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でバランスシートの縮小が開始される可能性が高まってきた。

 金融政策の「正常化」については、米国内におけるインフレ圧力の如何を問わず漸進させてきたFRBだったが、政策金利が1%台に乗る中、今後の利上げには徐々に引き締めの色合いも出始めると予想される。利上げを正当化させるには、米国内のインフレ圧力の存在が必要となってきそうだ。

 しかし、ここ数カ月の間、消費者物価指数が2%を下回るなどし、インフレ圧力が弱い現状が浮き彫りとなっている。失業率が低下する中で賃金の上昇が鈍く、これがサービス物価の伸びを抑制している。携帯電話の通信料などの「一時的な」物価下押し圧力を強調してきたFRBだったが、この1、2週間、果たして物価の伸び鈍化が本当に一時的なものなのかどうかを見極めたいとのコメントが増えてきた。