ソフトバンクグループが半導体設計大手、英ARMを約3.3兆円で買収することを発表してから約1年。2016年に出荷された半導体177億個にその技術が使われるARMはどう変わったのか。サイモン・シガースCEO(最高経営責任者)を直撃した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

ソフトバンク傘下の英アームCEOが語る、孫社長からの“要求”Simon Segars/1967年10月生まれ。91年ARM入社。2001年エンジニアリング担当バイスプレジデント、05年エグゼクティブ・ディレクター、13年7月より現職。17年6月ソフトバンクグループ取締役に就任。 Photo by Masato Kato

──ソフトバンクグループによる買収発表から約1年。ARMにどんな変化がありましたか。

 買収完了は昨年9月ですが、それ以降、われわれは自らのビジネスにずっと集中できていて、長期的な視点での投資が増えました。

 それまでの株式公開企業の状態では、投資の際も売上高や営業利益を意識する必要がありましたが、ソフトバンク傘下になったことで、自由度が高まりました。将来を見据えた投資に対する制約が減り、積極投資が増えたのです。

──ARMの従業員数が増えているのもソフトバンク効果ですか。

 そうです、それも投資です。われわれは半導体の技術(IP)を提供する企業で、工場を持ちません。成長エンジンは人なのです。

 長期的な成長に向けて、開発者の他にも、次世代のニーズを探るマーケティング担当などを採用しています。もちろん買収されなくても人を雇っていたと思いますが、ここまで多くなかったでしょう。

 また、昨年9月以降、ARMも5社を買収していて、その人員増もあります。これまでも企業買収はしてきましたが、ソフトバンク傘下になって加速しています。

──企業買収の自由度も高まったということですか。