とはいえ、契約して即200万円をゲットできるわけではない。融資が付き、着工に至るまで大体4~6ヵ月かかるため、契約後は着工するまで先払いとして1棟当たり2万円が毎月分割支給される。融資が付いて着工した時点で、5割の100万円から2万円×4~6ヵ月分を差し引いた88~92万円が入り、棟上げで残りの3割、完成で残りの2割がもらえるという流れだ。

 ここで特に問題になるのが、「融資不調」だ。むろんのこと、契約前に銀行に融資の打診はしておくが、銀行が本腰を入れて審査するのは当然ながら契約後になる。そこで不調になってしまうケースがあるというのだ。

 例えば、地主の子どもが連帯保証人になるケースが多いが、特に新規案件では子どもへの説明が不足し、契約後に子どもに建築を反対されて白紙撤回になってしまうことがある。となれば融資不調となり、営業マンに先払いで支給された月2万円×4~6ヵ月分を一括で返還しなければならないというわけだ。

「契約したから終わりではなく、完成に至るまでこうしたハードルがいくつも待ち構えています。融資不調になった人は個室に呼び出され、『どうするんだ!』と支店長や課長からものすごく詰められます。せっかく契約を計上したのに、融資不調で保留になると支店の数字がマイナスになり、目標達成が遠のいてしまいますからね。『その責任をどうやってとるのか』と詰められれば、次の新しい契約を無理してでも取るしかありません」

 同社の営業マンは3ヵ月間にわたり1棟も売れなければ“長期無実績者”の烙印を押され、6ヵ月無実績なら6万円、12ヵ月無実績なら12万円、給料が減額されるらしい。そのため12ヵ月無実績者は「手取りが5万円になることもある。生活できない」(別の現役社員)という。さらに上からの風当たりもきつくなるため、フタを開けてみないとわからないような厳しい条件の案件でも、無理に契約を取ってしまう営業マンもいるという。

「私は年間に数棟契約しているので今のところ長期無実績はないですが、それでも契約は毎月取れと言われます。そのため営業する先は、パイが小さくて同業他社と食い合いになる新規の割合がどうしても少なくなり、資産などがそれなりに分かっているリピーター頼みになるのは、ある意味で当然だと思います」

 ある程度営業に慣れ、キャリアを積めば年収3000万円超になる人も実際にいるという点では、夢のある仕事なのかもしれない。ただ、会社の業績が好調な一方で、新規顧客が減りリピーター頼りになってしまっているという構造的要因は、同社の営業戦略に潜んでいるようだ。次回はその点について具体的に見ていきたい。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

>>第3弾(8月4日(金)公開予定)に続きます。