皆が長く休むが故の社会のひずみ

 このように、節約型のバカンスが広く浸透するフランスですが、1年間に1度もバカンスに出ない国民が4割にのぼります。その中には、「出たくても出られない人」と「出たくないから出ない人」が混在しているわけですが、いずれにせよ図表5に示すとおり、出ない理由として圧倒的に多いのが、金銭的理由です(46%)。

 毎年夏になると、多くのメディアが、バカンスに行けない子どもたち自身や、その事態に対する行政や民間団体による取り組みについて報道します。皆が長い休みをとるが故の社会問題と言えるでしょう。

◆図表5.バカンスに出かけない理由

出所 : CRÉDOC 2014 enquêtes Conditions de vie et aspirations

 さて、冒頭でお伝えした、筆者が父親から受けた平手打ちですが、実は夏休みの1泊2日の家族旅行から帰ってきた直後でした。友達がバカンスに出て遊び相手がいない腹いせだったのでしょう。父親の前で、「多くの友達が、長い旅行に出ている。どうして我が家族はそうじゃないのか」という主旨の不満を口にしたことで父親の怒りを買ったと記憶しています。

 今考えると、当時の日本は休みも少なく、バカンスどころか1泊旅行に行ける家庭も少なかったはずで、むしろ感謝すべきでした。こうした苦い経験から、このフランスで、バカンスに出る6割の人々を前に、バカンスに行きたくても行けない子どもたちの心境を察する度に、この皆が長く休むが故の社会問題たる「バカンス格差」に思いを巡らさざるをえません。