“挙党一致”態勢の新執行部
大震災対応への期待度は?

 8月30日、野田佳彦新首相が就任し、31日には新しい民主党の執行部が選任された。

 幹事長は、輿石東(党参院議員会長)氏、政調会長に前原誠司元外相、国対委員長に平野博文元官房長官。これは混乱を続けてきた党内を安定させる最善の陣容と言ってもよい。これなら政府与党が一体となって、大震災に対応できる期待も沸いてくる。

 小沢一郎氏に近いとされる輿石氏の幹事長起用は、挙党一致態勢の目玉人事だが、新首相にとってはそれだけではないだろう。年齢、経験、実績の重み。参院のまとめ役としての貴重な存在。それに加えて、個人的にも輿石氏の人格や手腕を高く買っていたのだろう。

 前原氏も不足はあるまい。政調会長が閣僚を兼任すべきではないという彼の持論も正論だ。

 重要政策では党内議論を尽して、党の主張を一本化し、首相が「官意」ではなく「民意」によって政策判断できるように援護するのが政調会長の役割。それが本当の政治主導だ。

 平野国対委員長は、鳩山由紀夫元首相の片腕。これで鳩山氏も政権運営、国会運営から疎外されることはない。

次の注目は「官房長官」人事
適任者は岡田克也前幹事長か

 内閣の柱である官房長官を誰にするか。これは党幹事長とともに、政権の命運を決める重要人事だ。ここは軽量級の側近よりも重量級の人材を起用するのが望ましい。すなわち、不器用だが原則をまげない岡田克也前幹事長に要請すべきだろう。

 岡田氏はこの1年、率先して損な役まわりを演じてきた。特に小沢氏の処分問題、菅前首相の退陣問題では逃げることなく火中の栗を拾ってきた。そのために党内人気が高まることはなかったが、世論はそんな彼の愚直さ、無欲さを見過ごしてはいない。大きな試練を経て岡田氏は一段と成長したに違いない。