2010年12月の発売以来、日本でもザッポスおよびトニー・シェイのファンを増殖させている書籍『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』ですが、これまで9回にわたり、日本のさまざまな層のザッポス伝説ファンの情熱を紹介してきました。第10回からは数回にわたって、渡米して、直接ザッポス・ファミリーに話を聞き、同書に書ききれなかった内容や出版してからの新たな動きについて、まとめています。今回は、パトリシア・バックとロッコ・デベネディクティスのザッポス・インサイトの二人に、他の企業や社外の方々などへのザッポスの知見の提供と教育についてうかがいました。

ほかの会社が変わる手助けをして、
世界を変える

ザッポスの経験を世界と共有する<br />オープンな公開プログラムの正体<br />――ザッポス・インサイト、<br />パトリシア・バック、ロッコ・デベネディクティスパトリシア・バック(Patiricia Buck、写真右)
ザッポス・インサイト事業開発担当。セールス/マーケティング職を経て、2009年9月にザッポスに入社しCLTに。その後、3ヵ月の社内インターンシップでHRリクルーティング・アシスタントに。そこで社内全体を理解し、インサイトに出会い、2010年10月から移籍。
ロッコ・デベネディクティス(Rocco DeBenedictis)
ザッポス・インサイト カルチャー・マジシャン。ディズニーのテーマパークでのトレーニング担当、化粧品の小売マネジャーを経て、2010年ザッポスに入社しマーチャンダイジング担当に。しかし、人とのインタラクションを望み、現職に。月曜から木曜に行われる社内ツアーのガイドも務める。

 ザッポスのサービス、ブランドの評判が広まるにつれ、ザッポスでしていることを学びたいという人々が増えてきました。そんな人々のために、ザッポスはオフィス・ツアーや教育プログラムを提供するザッポス・インサイトを立ち上げました。パトリシア・バックとロッコ・デベネディクティスは、気になる同プログラムの内容を紹介してくれました。

 私たちは実際にほかの企業や人々の生き方を変えていることに気づいたのです。ザッポスよりもずっと大きなものの一部に自分たちがなれるようだ、というのが少しずつわかってきたのです。私たちは、ザッポスでほかと違ったやり方をしているだけでなく、「ほかの」会社がしていたことを変える手助けをすることで、世界を変えることができると気づいたのでした(中略)。

 私たちに寄せられたフィードバックやエピソードが、ザッポス・インサイトというインターネットでの動画配信サービスと、ザッポス・インサイト・ライブという二日間の集中セミナーの開発につながりました。どちらのプログラムも起業家と既存のビジネスを手助けし、その会社をよくするために設計されています。受講者の多くは、より強い企業文化と自社のコア・バリューをどのように創るかということに特に高い関心を持っています(『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』351ページより)。