ハードとソフトの総合力で安心を得る

 同じ震度5強でも、建物によって揺れ方は違う。超高層高層階の居住者は「大きくゆっくりした横揺れ」、中層建物(旧耐震)は「激しい揺れ」を感じた。

 この原理をわかりやすくモデル化したのが、【図2-3】である。

【図2-3】

  意外なことに、中層よりも超高層のほうが地震の加速度(揺れの勢い、激しさ/gal:ガル)は小さい。地表の加速度が約50~130ガルの場合、中層建物にかかる加速度は約300ガル、超高層は約100~200ガルであり、居住者の感覚とほぼ合致する。

 また「揺れそのものより、エレベータの復旧速度が重要」「フロントからの安否確認や英語による緊急放送があり、不安がやわらいだ」というコメントも重要な指摘だ。安心感はハードの安全性だけでは得られない。的確な防災対策、個々の建築・防災知識、管理会社のサポート体制、助け合えるコミュニティなどのソフトも大きい。

 安全・安心の住まいは「ハード(地盤+建物構造+施工)+ソフト(入居者の防災・建物知識+管理会社のサポート+コミュニティ)」という総合力で決まる。

 東日本大震災でどの建物がどの程度揺れたか、正確な数値を知りたいところだが、地震計を設置しているマンションはほとんどない。

 そこで、所有建物のうち14棟に地震計を設置し、今回の揺れを解析した森ビル構造設計部の協力を得て、制震構造・免震構造の効果や揺れの違いを検証した。