正しい雇用論議無き民進党代表選がそっぽを向かれるのは当然だPhoto:日刊現代/アフロ

 民進党の代表選が8月21日に告示された。前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちだ。新代表が民進党の党勢を復活させられるかどうかのカギは、自民党の「受け皿」になると有権者に再び支持されるかどうかだ。が、肝心要の経済政策ではまったく心許ない。

 というのは、両者ともにマクロ経済の考え方や政策を理解しているとは思えないからだ。前原氏は、財政再建・緊縮財政路線であり、消費増税をすることを掲げている。また枝野氏は、9年ほど前に筆者とテレビ朝日の番組で議論した際に、金利を引き上げることを経済成長の条件にとしているからだ。それ以降、枝野氏は意見を変えていない。誤ったマクロ経済の認識のもとで、「雇用確保」という民進党の支持基盤のリアルな要求に応えられるだろうか。

「雇用の確保」、心許ない政策の理解
どちらがなっても安倍政権に負ける

 前回の本コラム『安倍改造内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成』で示したように、雇用の確保のためには、有効需要を作り、実際のGDP(国内総生産)と潜在GDPの差の、潜在GDPに対する比率である「GDPギャップ」を+4.5%程度にする必要がある。