承認欲求が強い部下は「おだてない」「無視しない」

異なる世代や環境の人と、リアルにコミュニケーションを取ることを苦手とする若い世代は、自らの生活をSNSで拡散し共有し、「いいね」で共感してもらうことを好みます。その理由としては、「承認欲求」が満たされるからと言われています。普通に暮らしていれば、単調で取るに足らない一日が続くのがむしろ当たり前です。しかし彼らは、毎日のようにおいしそうな食事や美しい景色、心躍るような仲間とのひとときを公開します。その姿は、時に「必死で幸せそうに見せている」ようにも見えます。このように「承認欲求」の強い若い部下を上司としてどう扱い、いかに力を発揮させるかを考えたいと思います。

自分自身を認められないから
他人には承認してもらいたい

 承認欲求とは、「人から認められたい」と思う感情のことです。人との関わりなくしては生きられない人間にとって、当たり前の欲求のような気がします。けれどもあまりに強い承認欲求は、自分自身を苦しめることになります。中にはコンプレックスのかたまりで自分自身を認められないために、他人から認めてもらうことで心のバランスを保っている人もいます。

 上司としては、プライベートでの孤独を埋め合わせるために認めてもらうことを熱望している部下を、満足させるのは荷が重いことです。部下が「ほめられることの効用」を得るためには、上司が「本心から感心する」態度が必要なので、部下本人が変化しなければいつしかほめる「ネタ」が枯渇してしまうでしょう。そうすると上司は根拠のない承認を続けることになり、結果として部下を甘やかすだけとなり、最終的にはかえってやる気をなくさせる恐れがあります。