「日常食になる非常食」に商機、贅沢スイーツからお袋の味まで国分グループ本社が発売した「K&K非常用缶詰・食事セット」

 トマトの玄米リゾット、かぼちゃの煮物、ごぼうとジャガイモの和風ポタージュ、ラム酒やブランデーを使った本格的なプリン。

 どこかのレストランのメニューのようだが、実はこれ、食品大手の国分グループ本社が8月21日に発売した非常食なのである。(写真)。

 9月1日の防災の日から二日後、北朝鮮が水爆実験を発表した。東日本大震災や昨年の熊本地震のような自然災害のみならず、「有事」への不安は高まる一方だ。さらに今年は東日本大震災から6年目とあって、非常食の賞味期限(通常は1~5年程度)切れによる買い替え需要も期待され、食品メーカーはさまざまな新製品を投入している。

 冒頭の国分グループ本社の製品は、中身が本格的なだけでなく、缶詰ウォーマーも含まれており、これらの食事を温かく食べることができる。

「東日本大震災の被災者の方々にヒアリングしたところ、被災地に届く食べ物の多くは肉や魚、パンやカップラーメンであり、被災者のニーズに十分対応できておらず、温かい食べ物、野菜、卵、乳製品などが食べられなかったとの声が数多くあった」(柴田樹・国分グループ本社マーケティング統括部主任MD)という。

 一方、スイーツに力を入れているのがトーヨーフーズ。

 15年2月に「どこでもスイーツ缶」としてチーズケーキ、ガトーショコラ、抹茶チーズケーキの3種類を発売したところ話題となり、すでに販売個数は約20万缶を超えている。消費者から「備蓄しておくのではなく、日常でも食べたい」との声が複数寄せられたことを受け、今年4月から食べ切りサイズのミニタイプを発売。また同時期に「どこでもスイーツ缶シリーズ」の第2弾としてカップケーキも発売。さらにババロアも現在開発中で、さらなるラインナップの強化を図る。