したがって北に核を廃棄させるために外交努力を結集しなければならない。

 そのために第一に必要なのは、日米中韓の共通戦略の構築だ。

 先に述べたように四者は共通利益を有している。米国がティラーソン国務長官をはじめ中国との連携協議を重ね、国連安保理制裁決議にこぎつけたのは評価さるべきだろう。

 これから必要なのは、北朝鮮の行動次第で、さらなる制裁の強化をすることであり、一方では出口戦略を作ることなのだろう。

 米国は、依然、トランプ大統領就任後の政府高官の任命が遅れており、国務省も枢要な幹部の空席が目立つ。トランプ大統領がどう動くかは不透明で予測が難しい。

 米国と強い同盟関係を維持し、核やミサイル、そして拉致問題など、直接的な利害関係にある日本が交渉による解決のための出口戦略を四者で協議していくために主体的役割を果たすべきなのだろう。

排他的ポピュリズムの懸念
地域の安定を主導する外交力が問われる

 報道されていることだけを見ると、日本の外交は「対北朝鮮圧力」とか「対中牽制」が喧伝され“対外強硬論”で成り立っている印象が強い。

 それは国民意識を反映しているのだろうか。

 国民もそうした強硬論に近い思いを抱いている、あるいはそういう国民に政治家やメディアが迎合しているとすれば、日本でもポピュリズムが台頭してきているのではないかと懸念される。

 米欧では移民や難民の飛躍的拡大がポピュリズムにつながっているが、日本では移民の制限は厳格であり、むしろ「反北朝鮮」、「反韓」、「反中」の排外的ポピュリズムが強くなってきているのではあるまいか。

 だが人口が減少し、国内需要が制約されていく日本の未来を考えればこれまでもそうであったように日本はアジア、とりわけ日本の近隣諸国の需要に依存していかざるを得ず、近隣諸国との安定した関係作りは、外交の最大のプライオリティであるはずだ。

 30年前に、日本の貿易総量の25%を占め圧倒的な貿易パートナーだったのは米国だが、現在では、25%のシェアを占めるのは中国なのだ。

 政治はそのような日本の現実に目を背けることなく、排他的ポピュリズムを抑さえ、地域の安定を主導する外交を展開するべきなのだろう。

 万が一にもポピュリズムを煽るようなことがあってはならない。

 日本にとって排外的ポピュリズムは危険である。

「圧力、圧力」や「牽制、牽制」といった強硬論を煽るかのような報道に惑わされることなく、日本の現実を直視し、外交を冷静に判断しなければならない。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)