受験者激減と地方での苦境に加え、全国に約8000人という、他士業に比べて高い希少性……。今や鑑定士は“絶滅危惧士業”とさえいわれている。

人手不足、企業が狙い目

 だが、ここにきて都心部の状況が激変した。「不動産業界の好況で、大手鑑定士事務所を中心に、仕事が増加。35歳前後までの若手合格者に対しては人材獲得合戦になっている」(前出の鑑定士)のだ。

 半面、試験は難し過ぎて(2次の論文式試験合格率が1割台)受験者が伸びないままだ。

 残された時間は少ない。鑑定士は高齢化が顕著で、登録者の4割超が60歳以上なのだ。このままいけば、不動産価格の鑑定に時間がかかるようになり、遺産相続にも影響してしまう。

 そこで、16年から国土交通省が受験制度改革に乗り出した。従来よりも各科目の問題の難易度を下げ、受験対策をしやすくした。そして、今後は税理士のような科目別の合格制度が導入される可能性も高い。

 さらに、国交省では不動産鑑定士の業務拡大も議論されている。具体的には個人の動産評価や、農業法人関連の業務への進出だ。今後は企業に雇われる企業内鑑定士も増えるといわれ、資格としての伸びしろは大きいのだ。

 いずれにせよ、科目別になれば、複数年と時間をかけて受験できる上に、取得後の業務も広がるとあり、一転して、今度は社会人にとっての“狙い目国家資格”に生まれ変われる可能性を秘めている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 西田浩史)