2011年10月10日は、中国の辛亥革命からちょうど100年目である。辛亥革命とは、日本で言えばちょうど明治維新(1868年)のような事件である。

 当時の日本には、明治維新の威勢が残っていて、孫文の革命精神に共感し、信義に基づく支援者が山ほどいた(保阪正康著『孫文の辛亥革命を助けた日本人』(ちくま文庫)に詳しい)。

 彼らには、現在よりも中国大陸への憧憬も強かったのだろう。100年を経過した現在でも、中国への期待は再び大きい。中国にはリスクもあるが、チャンスとして大きな成長力がある。中国と共存共栄することが日本のためになる。

 日本が経済規模(名目GDP)において2010年に中国に逆転されたことは周知であろう。2016年までに、中国の名目GDPは、2010年よりも2.0倍に拡大する見通しである(IMFの9月予測)。

 この成長力を円換算ベースでみると、わずか6年間で+505兆円(1元=12.0円換算)の購買力が生み出される計算である。中国が輸入する金額がそれに応じて+51兆円増える(図表1参照)。日本からは、中国への輸入額が+9兆円増えることになりそうだ。

2016年には2倍にも拡大する中国市場<br />非製造業にも広がる「想像以上のチャンス」<br />――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

 一方、よく耳にする日本の未来図は暗い話が多い。5年以内に消費税率を2ケタに引き上げる必要がある、貿易赤字国に転落し家計貯蓄がマイナスに転じる、国債の国内消化ができなくなる、などなど――。

 将来ビジョンについて、まずい話ばかりがもっともらしく聞こえるのは、人々のマインドが保守的になってネガティブ情報に過敏になっている証拠だ。企業経営者ならば、苦しいことを当たり前として、活路をどこに求めるかを示すはずだ。