小池都知事率いる「希望の党」に全く希望が見えない理由Photo:AFLO

安倍総理が衆議院の解散を表明するやいなや、25日、小池百合子東京都知事が新党「希望の党」の立ち上げを発表した。そして、驚くことに、野党第一党である民進党が希望の党への事実上の合流を一方的に決めた。有権者にとって新しい選択肢が増えることは望ましいことかもしれないが、「改革保守」という抽象的な理念と「日本をリセットする」というふわふわとした目的を掲げ、現職議員が寄せ集まった新党に、果たして希望はあるのか。(政治ジャーナリスト 黒瀬徹一)

よくわからない「国政への関与」の目的
小池都知事は何がしたいのか

 日本をリセットする――。

「希望の党」立ち上げの際に小池都知事の言葉を聞いた時、《どこかで聞いたことがあるな》と感じた。かつて大阪維新の会が国政に進出する際に掲げた「グレート・リセット」という言葉に酷似している。

 リセットだけではない。その他にも「しがらみのない政治」など、どこかで聞いたことのある“使い古された言葉”のオンパレードだった。

 正直、小池都知事が何をしたいのか、よくわからない。何のために国政に関与するのか。

 国政に勢力を持つことは「都政運営にもプラス」という意見もあるが、国政で与党になるならともかく、少数政党を国政に保持したところで、あまり意味がない。日本維新の会の歴史から見ても明らかなように、地方政治が国政の政局に左右されてしまい、むしろ都政の運営が困難になるだろう。

 例えば、2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックの準備を円滑に進めるためには、政府との協調は欠かせない。新党を立ち上げたところで、国政で勝てる議員の数は限定的である。下手に少数政党を作っても、自民党からの“裏切り者”と一緒に選挙をかき乱せば、当然自民党・公明党との間に禍根を残してしまうだろう。