案の定、先週の本コラムに対する大手メディアからの反論、異論、抗議の類は一切ない。

 鉢呂前経済産業大臣が発したとされる「放射能、つけちゃうぞ」という趣旨の発言は、やはり「捏造」だったということだろうか。

 当事者である鉢呂氏はこう語り、本コラムで筆者は次のように報じた。

〈「放射能と言った記憶がないのです。確かに相槌を打ったような気もしますが、それもはっきりせず、自分で言ったような記憶はない。私も長年政治家をやってきていますから、自分で言った言葉については大抵覚えております。でも、放射能という言葉自体、あまり使ったことがありませんし、放射性物質などということはありましたが、なにしろ記憶にないのです。でも、優秀な記者さんたちがみんなそう報じるので、どうしてなのかなと思っておりました」

 結論からいえば、鉢呂氏は「放射能」も「つけちゃうぞ」も発言していない。発言のあったとされる当日、東京電力福島第一原発所の視察から戻った鉢呂大臣(当時)が、赤坂宿舎に集まった4、5人の記者たちと懇談したのは事実だ。だが、防護服を着用したままの鉢呂氏に「放射能」という言葉を使って、水を向けたのは記者たちのほうであり、それに対して、鉢呂氏は何気なく相槌を打っただけというのが真相なのだ〉

 その後、さらなる事実が判明した。そこで、今週は、先週、書ききれなかった部分と、取材で得た新事実を付け加えてみようと思う。

「死の街」発言が問題なら
なぜその場ですぐに追及しないのか

 まず、鉢呂氏が発言した「死の街」発言についてだが、それは公的な大臣会見の席上で発せられた言葉で、その後の質疑応答でこの点について質した記者はいないということを明確にしておかなければならない。

 仮に問題発言ならば、すぐにでも、その言葉について反応してもよいものだが、日本の記者の習性である「内弁慶ぶり」がここでも発揮されてしまったようだ。