マツダがいま、
ディーゼル投入を決断したワケは?

石原都知事“ペットボトル会見”以来の<br />ネガティブイメージを覆せるか?<br />マツダの2012年国内ディーゼル乗用車参入を占うマツダの次世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」。
Photo by Kenji Momota

 マツダの代表取締役会長・社長兼CEOのの山内孝氏は2011年10月25日、同社R&Dセンター横浜(神奈川県横浜市神奈川区)で記者会見し、2012年春から直列4気筒2.2リッターツインターボのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」を搭載した小型SUV「CX-5」を日本国内導入すると発表した。同エンジンの特徴は4.0リッターV6ガソリンエンジンを凌ぐ最大トルク420Nm、SUV市場で最良燃費となる18.6km/リットルを実現したことだ。

 また今回の会見では、次期「アテンザ(欧米でのマツダ6)」と思われる中型4ドアセダンのコンセプトモデル「マツダ雄(TAKERI)」も世界初公開した。同車にも「SKYACTIV-D 2.2」を搭載し近年中の量産化を目指す。

「CX-5」については今年9月の独フランクフルトモーターショーですでに世界初公開し、その後マツダとしては異例なメディア向けプロトタイプ試乗会を世界各地で実施している。日本での同試乗会は9月末、袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)で行われ、筆者も参加した。

 マツダはこれまでにも、自社の次世代車開発のロードマップのなかで、内燃機関(ガソリン、ディーゼルエンジン)で次世代環境技術を極めることを最優先としてきた。ハイブリッド車については現在、トヨタから供給されるハイブリッドシステムを北米などでテスト走行している。その模様は米系の自動車ウェブサイト等のスパイフォト/ビデオで公開されている。またEV(電気自動車)についても、2016年以降の米カリフォルニア州ZEV(ゼロ・エミッション規制)でマツダも規制対象企業となることがほぼ確実であるため、自社内での研究開発が進んでいる。

 そうしたなか、マツダはディーゼル車による日本国内市場拡大という「難題」に真正面から挑む。「難題」の意味については本稿後半で触れるが、ディーゼル乗用車は過去10年強、日本の自動車産業界では「タブー視」されてきた。