この15年、離婚は減り続けている。こう聞くと驚く人が少なからずいるのではないだろうか。離婚には、いろいろと知られない実像がある。今回は国勢調査などのデータを使って、離婚のリアルを探っていこう。(ノンフィクションライター 和泉虎太郎)

バブル期後に増えた離婚は
2002年から減少傾向に

 熟年離婚や母子家庭の貧困問題などがクローズアップされることが多くなっているが、離婚件数自体は、この15年で確かに減少している。人口動態調査(厚生労働省)によると、離婚数のピークは2002年の28万9836組。最新の16年は21万6798組。ピーク時の4分の3である。

 ちなみに離婚の対人口比率(人口1000人に対する比率)がもっとも低かったのは1960年で0.70、離婚件数は6万9410組で現在の3分の1程度だ。以降、その数字は少しずつ増えていくのだが、目に見えて大きく増えていくのは90年前後である。女性の社会進出(と、それによる女性の経済的な安定)と歩を一にしているともいえる。

 ただし、婚姻の数も減少しているので、婚姻の正味数、つまり婚姻と離婚の差を意識しないと見誤る。ここで婚姻率を離婚率で除した、名付けて「婚姻率倍率」を算出してみると、2002年のピークが2.61と、確かに最低になるのだが、その後、この倍率は2.9前後で推移するに止まっている。

 離婚数が減っているのに、なぜ「婚姻率倍率」が上がっていかないのか?その理由は、婚姻数の減少にある。婚姻数と離婚数の差をとった婚姻数増加の実数では、02年の46万7495組から16年は40万3733組と、フローとしての婚姻数はむしろ減少していることが見て取れる。

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