「あなたがスマートフォンをどう使っているか、全部お見通しですよ」

 街中でこんな言葉を耳元でささやかれたら、ほとんどの人は「気持ち悪い」と感じるだろう。しかしこのところ、スマートフォン界隈は、そんな話題でもちきりである。

きっかけは
「カレログ」騒動

 きっかけとなったのは「カレログ」だ。社会問題としてマスメディアで広く採り上げられたこともあり、ご記憶の方も多いだろう。公式サイトに当初掲載されていた説明によれば、「彼氏のスマートフォンにインストールしておけば、彼氏の現在のGPS位置情報を常にチェックすることが可能」というサービスで、居場所だけでなく「電源が切れちゃったから連絡できなかった」と言い訳されないように「バッテリー残量もわかる」という。

 また有料会員に対しては「彼氏の携帯電話の通話記録まで、リアルタイムに入手可能」することが可能となり、またカレログを妨害するツールを検知するためか「インストールしたアプリも丸わかり」という徹底ぶりだった。平たく言えば、「パートナーが浮気していないか、スマートフォンの利用履歴を、相手に知られずこっそり監視しましょう」というものである。

 さすがにこれは拙かった。相手(=端末利用者)に無断でインストールし、データを収集するという部分が、不正指令電磁的記録供用罪に抵触する可能性が、また無断で追尾(=対象の移動状況をトレースする)することが、民法の不法行為として認定される可能性が、それぞれ指摘されたのだ。

 なにしろカレログは、セキュリティ大手のマカフィーから、マルウェア(不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェア)との認定を受けてしまった。民間事業者ゆえ法的拘束力はないが、同法がマルウェアの摘発を目的に制定された経緯を踏まえると、事実上の違法認定と言っても過言ではなかろう。