同じような声は、財務省からも聞こえてくる。

「本人はやる気満々らしい。だが本田さんだけは、勘弁してほしい」

 異次元緩和が始まって4年半あまり。「2%物価目標」の達成時期は6回も先送りされてきた一方で、さまざまな「副作用」が目立ち始めた。

 行き場を失った緩和マネーが、一部の不動産市場などに流れ込んで、「バブル」の様相。一方で、日銀による国債や上場投資信託(ETF)の大量購入で、「売り」がなくなった債券などの市場は機能しなくなった。

「日銀による事実上の財政ファイナンス」で赤字財政をやりくりできてきた財務省も、財政再建が遠のくばかりの状況に危機感の方が強くなった。

 こうした状況を受け、日銀内や、日銀と財務省の事務方の間では、水面化で超金融緩和を修正する「出口戦略」が検討されている。

「いま以上のリフレ策はとりたくない。新総裁になるのを契機に、出口論議をやれる流れにしたい」(日銀幹部)

 だがそんな思惑もしぼんでしまった観がある。

アベノミクスの指南役で
安倍首相に引き立てられる

 本田氏が、安倍首相の経済政策の「指南役」として注目されたのは、民主党政権で自民党が野に下っていたころだ。

 リーマンショックや東日本大震災が重なって経済停滞が続く中で、自民党は「民主党政権には成長戦略がない」との民主党批判を強めていた。

 その時に、財務省を退官し静岡県立大教授をしていた本田氏が、安倍氏に、超金融緩和による「円高是正」やインフレ目標導入などによる「デフレ退治」をアドバイスしたとされる。

 2012年11月の総選挙で、安倍自民党は、大胆な金融緩和、「インフレ目標」を公約に掲げて選挙で大勝。本田氏は、第二次安倍内閣の発足とともに、内閣官房参与になった。