政権発足後、ほどなくしての翌年1月、官邸で開かれた金融専門家会合。

 政府側からは、安倍首相、麻生太郎財務相、甘利明経産相、菅義偉官房長官の4閣僚が出席。

 民間からは、中原伸之・元日銀政策審議委員、浜田宏一・エール大教授、その後、日銀副総裁になる岩田規久男・学習院大教授ら、リフレ派を中心に6人が集まった。

 この席で、専門家側から、「2%物価目標」や日銀と財務省がそれぞれ役割分担をしてマクロ政策に取り組むことなどを掲げた「4提案」が、示される。

 これが「デフレ脱却」に政府と日銀が連携して取り組むことを約束した「アコード」(政府と日銀との政策協定)の原型になった。

 この時も、本田氏は政権側の一人として出席。「アコード」の文面作りに関与したとされる。

「なぜだかはよくはわからないが、総理が本田氏のことをかなり信用していることは確かだ」。首相に近い経済人の一人は話す。

 最近でも、リフレ派の官邸への影響力が根強いことを改めて印象付けたのが、7月に任期切れになった二人の日銀審議委員の後任選びだった。

 黒田総裁の緩和路線に慎重姿勢を続けていた2人の委員の後任に、財務省と日銀は、2人の推薦候補の名前を官邸に上げていた。

 そのうち、鈴木人司・元三菱東京UFJ銀行副頭取は推薦通りに内定。だがもう一人の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士上席主任研究員は、「名前も聞かなかったし、まったくの(人選の)蚊帳の外だった」(財務省幹部)という。

 積極的な金融緩和に加えて財政拡大を主張する片岡氏の起用には、リフレ派の助言があったとされ、「出口の議論が時期尚早だ、という官邸からのサイン」とも受け止められた。

 さらに総選挙前には、財政健全化計画の目標達成時期の「先送り」もばたばたと決まった。

 こうした流れの中での安倍首相続投だ。首相は3期9年の長期政権を狙っているといわれ、“ポスト黒田”の総裁人事についても、「これまでの黒田路線をしっかりと進める」人物を挙げる。

 そんな「首相の意中の人物」として本命視されるのが本田氏というわけだ。