2000年ぐらいから風向きが変わってきました

─身体の健康とも深く結びつく環境問題に関して、坂本さんはずいぶん早くからいろいろな活動をしていましたね。

 CDのパッケージをエコな特殊ケースに変えたのも25年ぐらい前。あのときはすごいバッシングでした、坂本がおかしくなったなんてまで言われた(笑)。

─(笑)

 それが2000年ぐらいから風向きが変わってきました。それ以前は環境問題やエコロジーというと堅苦しいイメージがあったんです。へたをすると新興宗教のようなイメージすらあった。

 それが2000年ごろからコンビニエンス・ストアでもエコ・バッグが売られるようになったり、再生紙が普通の存在になったり、ずいぶん変わってきました。いまやエコに対する抵抗感はないでしょうね。

─近年、企業の経営者や自治体の長と環境問題をテーマに対談されることも増えていますが、そういう環境に敏感な人はどこか雰囲気や佇まいがちがったりするのでしょうか?

 エコや環境に気を使わない人とはあまり会わないようにしているので(笑)、ちがいはよくわかりませんが、シャボン玉せっけんの前の社長さんなどは気持ちのよい方でした。企業としていちはやくエコにも取り組まれて、人間的にもすばらしい佇まいだった。そういう経営者の方も増えてきているなという印象です。

more trees
坂本龍一が代表理事となって2007年に発足した、人類の文明を支え、地球環境のよりどころとなる森林の保全と再生を目指した一般社団法人。国内外で森林整備や植 林を行なうほか、カーボン・オフセット事業、日本の林業の支援のための国産材アイテムの企画・販売をしている。本年が設立10周年。

 

─森林の保護と再生を訴える「more trees」の活動も今年で10周年になります。10年経っての手応えはいかがでしょうか?

 う~ん、大きくなっている実感はないかな。定着はしてきたけれど、ぐんと伸びているというほどではない。ただ、こういう活動が継続できていること自体はいいことかな、と。

 一般の人にとっては森林の問題以外にも、悩ましいことはたくさんある。とくに311以降はそうでしょう。でも、長期的な視点では森を大事にすることは必要不可欠なので粘り強くやっていこうと思っています。

 今年も日本では冷夏だったり雨が多かったりと異常気象が続いています。どこかが暑ければどこかは寒い、どこかが小雨であればどこかが多雨になるという、地球レベルでの気候変動の現れの一つだと思うので、日本人にとっても他人事ではないという空気になっていくのではないでしょうか。

 農作物への被害も多くなるでしょうけど、こうなることは何十年も前からわかっていたこと。被害が大きくなってから軌道修正するのは大変なので、その前に対策を取ることが重要だし、経済的でもあるのですが、人間というのはなかなか事前には真剣にはなれないんですね。