新たな展開

 怪しいとは思っていても、何が問題なのか、もう1つよくわからなかったオリンパスの過去の一連の問題が進展を見せた。

 11月8日、オリンパスは第三者による調査委員会の報告内容として、巨額であり不自然だとの指摘を受けていた過去の買収および買収のアドバイザリー・フィーが、過去の証券運用に関わる損失の処理に関わるものだったと公表した。

 ネットの世界では、早い段階で、オリンパスの問題の背景には、同社の証券投資の損失隠しがあるという噂が広がっていたが、今回の公表は、この噂を追認するものとなった。

 筆者も、オリンパスの旧経営陣の対応の様子を見て、買収に関わる支出は不自然だが、彼らが私的に着服しているような様子とは見受けなかったことから(一応は、「会社のために」何かを隠しているように見えた)、こうした可能性を疑っていた。

 もっとも、現時点で、これらの支出に関して私的な着服などの犯罪が一切ないと決めつけられるものではない。

 同社の高山修一社長は、過去の含み損の先送りに関わってきたのは、菊川剛前会長、すでに解職された森久志副社長、山田秀雄常勤監査役の3名で、事実の解明が進んだ時点で彼らへの処分を検討するとしている。

 処分がこれら3人だけでいいのかは大いに疑問だが、菊川前会長も含めて処分の対象にすることを明確化したのは、一歩前進だろう。

 この問題は、世間的には、買収に関わる過去の不透明な支出の責任追及を行おうとしたマイケル・ウッドフォード前社長が、逆に解任されたことから始まった。

 ウッドフォード氏が問題にしたのは、英国の医療機器会社ジャイラスの買収の際にアドバイザーを務めた2社に、買収金額の3割以上の約600億円を支払ったことと、いずれも売り上げ数億円の小規模な国内ベンチャー企業3社に合計700億円以上の資金を投じて1年も経たないうちに、500億円以上を減損処理したことなどだった。