不動産大手、住友不動産の躍進が続いている。けん引役は、マンション販売事業もさることながら、リスクを取った独自戦略で高い収益性を誇るオフィスビル賃貸事業だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)

「東京のオフィスビル、ナンバーワン」──。先月から、新たなテレビCMがお目見えした。不動産大手、住友不動産の企業イメージCMだ。

 三井不動産や三菱地所の企業イメージCMと聞けば、その内容やキャッチフレーズを思い出す人は少なくないだろう。一方で、住不の過去のそれを思い出せる人はまずいない。何せ住不が企業イメージCMを最後に打ったのは、四半世紀前のことだからだ。

「もともとブランド力があるため、その必要を感じなかった」(住不幹部)としつつも、「2トップにほぼ肩を並べたという自信の表れ」との本音も漏れる。

 実際、大手不動産3社が過去最高益をたたき出した2017年3月期決算にあって、住不は売上高と営業利益、経常利益、純利益の全てで、4期連続の過去最高を更新した。純利益は1035億円と、菱地所の1026億円を上回り、業界2位に着ける。

 また、17年4~6月期決算でも増収増益となり、過去最高を更新。18年3月期には営業利益で2000億円を、また19年3月期には売上高で三井不と菱地所に続く、1兆円の大台突破をもくろむ。

 だが、そんな破竹の勢いの住不の“歯ぎしり”が、冒頭のキャッチフレーズには隠れている。