『ダイヤモンドクォータリー』誌では9月と10月の2回に渡って、大手企業の経営幹部の参加を募り「次世代経営リーダー育成塾」を開催した。グローバル企業の現役経営陣を講師に迎え、パネルディスカッションとワークショップの2部構成で行われたこの経営塾の活発な議論を抄録としてお届けする。

コーポレート(本社)の役割は何か
その問いはマネジメントの再定義に通じる

グローバル時代の「本社機能」をテーマに<br />次のリーダー候補が熱い議論を交わす

 パナソニック、日立製作所、ソニーなど日本を代表するグローバル企業がここ数年、本社改革を進めている。製品輸出から生産拠点の国際展開、そして進出先での市場拡大・浸透へと日本企業のグローバル化のステージが変化するなかで、グローバル本社機能のあり方そのものが問い直されているからだ。

「次世代経営リーダー育成塾」第1部のパネルディスカッションは、そもそも「コーポレートとは何か」という本質的な問いかけから始まった。

グローバル時代の「本社機能」をテーマに<br />次のリーダー候補が熱い議論を交わす講師 兼 モデレーターを務めた
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員
日置圭介氏

 講師兼モデレーターを務めた、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員の日置圭介氏は、「2000年初頭からの経営課題ではあるが、2010年前後からコーポレート改革に関する相談を受けることがより増えた。具体的テーマは様々なのだが、そのなかで気になっていることの1つは、『小さな本社』論。実態に即してのことだとは理解しているが、本社スタッフ=コストの感覚が強く、コスト面からの議論が先行しているケースが多く見受けられる。効率化を追求することはもちろん必要だが、単にオペレーションレベルの話で終わってしまっては、グローバル経営におけるコーポレートの役割は何かという本質論にたどり着けない」と指摘。
 そのうえで、「コーポレート改革の本質は、マネジメントの再定義にある。論点を絞るために単純に言ってしまえば、中長期の目線から経営資源を配分するのがマネジメントの仕事。それをサポートするために必要なコーポレート機能は強くして、そうでない機能は徹底して効率化するという両面からの検討が必要。それは、本社スタッフをコーポレートとビジネス(事業部門)、オペレーションにカテゴリー分けし、人員配置を見直すことにも必然的につながっていくだろう」と述べた。

 日置氏のこの発言を踏まえ、講師陣一人ひとりが自社のコーポレート機能と、それぞれが考えるコーポレートのあり方について意見を述べた。

 講師として登壇したのは、以下の4名である(五十音順)。

・青山朝子氏(コカ・コーラ ボトラーズジャパン 執行役員 トランスフォーメーションプロジェクト統括部長)
・昆政彦氏(スリーエムジャパン 代表取締役 副社長執行役員)
・野坂茂氏(日本オラクル 取締役 執行役 副社長 最高財務責任者)
・橋本勝則氏(デュポン 取締役副社長)