FiiO
モデルが手にしているのが「X7 MarkII」

 ハイレゾ対応のポータブルプレイヤーなどで知られるFiiO。そのCEOを務めるJames Chan氏が来日し、新製品やFiiOのコンセプトについて紹介した。FiiOの製品はこれまでオヤイデが扱ってきたが、今後一部の製品をエミライが扱う。具体的には、国内でまだ販売が開始されていない製品が該当するという。

 具体的な製品としては、海外で既発売のハイエンドDAP「X7 MarkII」、エントリーDAP「X3 Mark III」、USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ「Q1 Mark II」、ユニバーサルイヤホン「F9」などがある。さらに開発中の機種としてDAC内蔵ヘッドフォンアンプ「Q5」、ユニバーサルイヤホン「F9 PRO」「FH1」などがあり、近く市場投入する予定だ。

 国内での販売時期や価格などの詳細は代理店を通じて、今後発表するとのこと。

日本のユーザーの声を聞きたい

 FiiOは“Infinity Sound”を標榜し、バランス駆動に対応した、アンプ、プレイヤー、イヤホンに注力していく。音場の広さに特徴があり、今後発表していく全てのジャンルで対応を進めていくのが基本方針だという。

FiiO
FiiOのCEO、James Chan氏

 James氏はHead-Fiなどで積極的にユーザーと交流することを通じて、その意見を聞き、積極的に製品に反映していくことで知られている。しかし言語の壁などもあり、海外のフォーラム上で日本のユーザーが発言する機会は少ない。そのため「日本市場が分からないのが悩みのひとつだった」とする。

 新しい販売代理店が加わったことは、それを変えるいい機会になると考えているようだ。発表会などで登壇する機会があまりない同氏だが、11月3日から開催中のヘッドフォン祭では、新製品発表会では自ら登壇し、FiiOについて紹介したほか、プレスからの質問も受けた。日本ユーザーの声を積極的に聞き、今後の製品開発につなげていくきっかけと考えているようだ。

 ブランドの由来は「Hi-Fi」とデジタルを意味する「10」の造語。James氏によると、ブランドとして重視しているのは「イノベーション」「品質」「サービス」の3点だちう。研究開発にも注力しており、約70名のスタッフを擁する(その数名は25年近く音響技術に取り組んできた技術者だという)。6000m2あり、年間100万台の生産能力を持つ工場では、許容差ゼロを目標としている。

オーディオメーカーの“トヨタ”になりたい

 FiiOの製品は、リーズナブルな価格で“いい音”を届けるという点にも注力している。市場では高音質・高機能だが、そのぶん高価な製品が増えている。そんな中、限られた人だけが“最高の体験”を得るのとは異なるアプローチで製品を開発していきたいとした。

 また「すべてはマーケットが決める」という発言もあり、新しいというだけで、本当に求められている機能をリーズナブルに提供していくことを重視しているとした。

 例えば、4.4mm5極端子の搭載やMQA対応などは時期尚早とする一方で、LDACやaptX HDに関しては、近くサポートしていく方針だ。ただしFiiOのDAPには、モジュール化したアンプを交換できる仕組みがあり、4.4mm端子の搭載自体は難しくない。日本市場での需要が高まっている認識はあるので、代理店のエミライなどと相談しながら、要望が高まれば積極的に検討していきたいとした。

FiiO
FiiOの製品は価格帯や機能に応じて、様々なメーカーのDACチップを採用しているが、これは製品ごとにユーザーのニーズにあった音質や機能が必要であると考えるため。上位と下位機種の狙いの違いは何かという質問については、「透明性」と「ウォーム」、「ベースの量感の違い」などだと説明。例えるならピュアウォーターとコカ・コーラ、あるいは素材を生かした日本料理と、スパイスにこだわる中華料理だとした。

 Hi-Fi機器の市場では「価格は品質」という信仰が根強かったが、欧米市場ではそういった考え方も崩れてきているとし、目指すのはオーディオメーカーの“トヨタ”のような存在だとした。その表れとして、後述するX7 MarkIIはバランス駆動をはじめとした高付加価値の製品でありながら、10万円を大きく切る、手ごろな価格に収めている。

据え置き向けESS DACやクイックチャージなど多機能な「X7 Mark II」

FiiO
X7 MarkII
FiiO

 X7 Mark IIは、ESS9028 PROを採用したハイレゾプレーヤーで、モバイルではなく敢えて据え置き用のハイエンドチップを使っている。3種類のクロック、7種類のデジタルフィルターを切り替えて利用できる。

 アナログ回路も物量投入しており、内部基板の製造品質の高さや不良の少なさにも配慮しているという。前モデルよりCPUの高速かも図っており40%高速。64GBのストレージと 2GBのメモリーを内蔵する。OSはAndroid 5.1をカスタマイズしたもので、2つのモードを持ち、Androidモードと、オーディオ専用のPure Music Modeが選べる。microSDカードは最大256GB×2を搭載可能。USB DAC機能、光同軸デジタル出力機能を持つ。Bluetooth、Wi-Fi接続が可能。AptXにも対応する。Quick Charge 2.0/Pump Express対応で、容量は3800mAh。従来比2.7倍の高速充電が可能。アンプモジュール部は独立しており、交換も可能だ。

 GUIは3種類用意しており、今後のアップデートで変更していくそうだ。歌詞表示やスクリーンロック機能を持つ。付属品も豊富で、標準でPUレザーケース、樹脂ケース、ガラスクリーンプロテクターなどを同梱する。

 新開発のアンプモジュール「AM3A」との組み合わせで、出力、S/N、歪み率などの数値が改善している。国内価格は未定。FiiOとしてはハイエンドの5~10万円程度のレンジを狙っている。

ホイール操作が可能なエントリー機「X3 Mark III」

FiiO

 X3 Mark3は、エントリー向けだが、デュアルDAC、バランス駆動にも対応する。DACチップはPCM5242×2基。D/A部とLPF、アンプ部を別個に用意することで、1チップのソリューションよりも高音質とする。PCM192kHz/32bit、DSD対応。最大256GBのmicroSDカードを使用可能。USB DAC機能も持つ。Bluetooth 4.1(デュアルモード)対応。

 UIはスクロールホイールを継続して採用。タッチパネルではなく、物理的にメニュー操作したいというニーズにこたえる。フロントパネルには強化ガラスを使用。赤と黒のカラバリが選べる。レザーケースと樹脂ケースが付属する。価格は未定だが、数万円の低価格レンジを狙っているようだ。

AKM製デュアルDAC搭載で薄型のDAC内蔵アンプ「Q1 Mark II」

FiiO

 Q1 Mark IIはUSB DAC内蔵のポータブルアンプで、DACチップにAKM4452×2を独立構成で利用している。アンプ部はAM3Aとほぼ同等とのこと。PCM384kHz/32bit、DSD11.2MHzなどに対応する。DSD入力時にはLEDが光り、どの信号かが分かりやすい。XMOSを利用した入力自動検知も便利な機能だ。また電子ボリュームの採用によって、ギャングエラーの問題を解決した。新日本無線の素子を使用する。LINE入/出力端子付きであるため、より駆動力の高い外部ヘッドフォンアンプとの接続も可能だ。

 金属製ボディで、テーパー加工のノブを持つ。ゲイン切り替え、ディスクリート回路で構成したバスブースト機能も用意する。バッテリー駆動時間はUSB DAC使用時で約10時間、アンプ単体だと約20時間。Micro-USBショートケーブル、同データケーブル、パッドなど、付属品は豊富。本体も100g程度と軽い。X3 Mark2よりも安価になる。

ケーブル交換可能な高コスパハイブリッド型イヤフォン「F9」

FiiO
FiiO

 F9は、1ダイナミック+2BA型のハイブリッド型イヤホン。バランス駆動に対応する。デュアルクロスオーバー(電気的な分割+アコースティックの分割)、ナノコンポジット振動板を採用。形状は装着の快適さを追究するため、試作を繰り返したとのこと。ノズルは45度の角度を付けた。堅牢構造、CNC削り出し、メタルシェルが特徴。

発売目前のQ5も公開

FiiO
FiiO
量産前の段階だがQ5(右)も展示されている。

 以上は海外で発売済みの機種だが、このほかAK4490AM×2を搭載したUSB DAC再上位機種の「Q5」のエンジニアリングモデルも公開した。DACに旭化成エレクトロニクスの「AK4490EN」を2基搭載。DSDは11.2MHz、PCMは384kHz/32bitまで対応する。出力は2.5mm 4極バランス端子とシングルエンドのステレオミニを各1系統搭載。さらにBluetooth受信機能も備え、高音質コーデックのaptXをサポートする。内蔵バッテリで10時間利用できる(DAC利用時)。

 ほかにF9の上位で、Knowles製ドライバー(33518)を採用した「F9 PRO」、F9より新しい世代で価格的には抑えた「FH1」といった機種も開発中だそうだ。いずれも量産前の段階で、詳細は後日発表になる。

FiiO
FiiO