あなたのスマートフォンから、アプリがなくなるかもしれない。

 現在スマートフォンをお使いのユーザなら、突然そんなことを言われても「意味が分からない」と思われるだろう。スマートフォンといえば、アプリ。そう表現しても大げさでないほど両者の関係は密接であり、巷にはアプリを紹介する雑誌やサイトが溢れている。

 予め種明かしをしておくと、スマートフォンからアプリが完全になくなるということは、おそらくないはずだ。しかし現在のように、スクロールを何度もしなければ全体が把握できないほどインストールされた多くのアプリを使いこなす、という利用スタイルは、減っていくかもしれない。

モバイル版Flash終了のお知らせ

 きっかけは、11月19日(現地時間)にAdobeから発表された、モバイル端末向け「Flash Player」の開発終了である。同社は今後、HTML5への取り組みを強化するという。このあたり、製品開発に携わっている方でないと、やや読み解きづらいかもしれない。

 ごく簡単にかいつまんで言えば、FlashはWebサイト上で、動画やゲームなど、よりインタラクティブ(双方向)な表現を実現するための技術である。現在は広告や一般のWebサイトなどでも使われており、PCでインターネットを使う方であれば、Flashの技術に触れない日は、ほとんどないはずだ。

 同様の技術は従来から数多あるが、FlashはPCベースのWebの世界で半ばデファクトの地位を占めている。その理由は、開発が容易であること。ハードウェアに一定の能力を要求するものの、高機能PCが安価で入手できる昨今では、取り立てて気にすることもない。

 こうした「追い風」を受けて、Flashの開発元であるAdobe社は、来るべきスマートフォン時代に備えるべく、このモバイル版の開発を進めていた。これが実現すれば、PCベースのWebで作られた様々なFlashの資産を、スマートフォン時代にもそのまま継承できる。コンテンツ提供者やユーザはもちろん、Adobeにとってもメリットは大きい。