日本で「リベラル」の定義が曖昧になる背景世間ではリベラルと目されている枝野幸男氏は「自分は保守でありリベラル」と言うが…… 写真:日刊現代/アフロ

「リベラル」の代表と見られていた民進党が、改革保守を標榜する「希望」へ合流を図ったかと思えば、辻元清美議員は「私はリベラルの力を信じる」と、合流を拒否して枝野幸男議員らと立憲民主党を立ち上げた。だが代表の枝野氏は「自分は保守でありリベラル」だという。さまざまな“リベラル”が入り乱れている背景を、『ポストモダンの正義論―「右翼/左翼の衰退」とこれから』(筑摩書房)などの著書もある仲正昌樹・金沢大教授が解説する。

立憲民主党誕生で
「定義」がさらに難しく

 日本の政治ジャーナリズムでは最近、「リベラル」という言葉が頻繁に使われている。

「リベラル」は、共産党や社民党などの「左派」と行動をともにすることが多く、マスコミでしばしば「左派・リベラル」と表記されるので、左派の別称あるいは穏健左派であるという印象を受けるが、実際はどういう関係にあるのかよく分からない、という人が多いのではないだろうか。