日本でもスマートフォン(「スマホ」)が急速に普及を始め、3年後にはユーザの半数近くがスマホになると予測されています。普及が一巡して成熟市場になった感のあった携帯市場が活性化していることは、スマホの広告の大幅な増加からも明らかですが、この盛り上がりを手放しで喜んで良いのでしょうか。

国内メーカーへの影響

 スマホの普及は様々なメリットをもたらします。

 最大のメリットは、ユーザである個人、さらには社会や組織の利便性や生産性の大幅な向上でしょう。パソコン並みの処理能力とパソコン以上の操作性を持つ端末がソーシャルメディアと同時併行的に普及しているのですから、ユーザの立場からすれば万々歳です。10年前にネットが普及を始めたとき以上のインパクトと言えるかもしれません。

 もちろん携帯キャリアにもメリットとなります。アプリやコンテンツのダウンロードなどでデータ通信量が大幅に増えるからです。また、KDDIがアップルのiPhoneを扱うようになってから加入者を増やしているように、スマホのヒット商品は加入者数の増加につながります。

 このようにユーザが便利になるわ、携帯キャリアも儲かるわとなると、スマホは良いことずくめに見えます。しかし、同時にスマホは日本に様々なデメリットをもたらしていることに留意すべきです。

 1つは、携帯端末を製造する国内メーカーへの影響です。ガラケーの端末では、世界市場はともかく国内市場は国内メーカーの独壇場でした。携帯キャリアと二人三脚で端末を開発し、「ガラパゴス」と揶揄される位に独自の端末を生産してきたからです。

 しかし、9月のスマホのメーカー別シェアを見ると、

 ソニー・エリクソン(英)  25%
 シャープ    20%
 アップル(米)  15%
 サムスン(韓)  14%
 富士通東芝モバイル  11%

 と上位5社のうち3社は外国メーカーです。機種別のシェアを見ても、1位はサムスンのギャラクシー、2位はアイフォーン、3位はソニー・エリクソンのエクスペリアと、なんと6位まで海外メーカーに席巻されています。

 そう、スマホに関しては、日本メーカーは海外市場はもちろん、国内市場でも既に負けつつあるのです。なぜそうなるのでしょうか。