“鬼気迫る迫力”のマー君に沢村賞
選考委員からは「苦言」のオマケ付き

「清武の乱」のインパクトの強さに、すっかり霞んでしまったが14日、マー君こと東北楽天・田中将大投手の沢村栄治賞受賞が決まった。

 沢村賞はセ・パ各リーグの最優秀投手賞とは別に、12球団トータルで最高の投手に与えられる特別賞だ。プロ野球で活躍した投手OB5人によって構成される沢村賞選考委員によって選ばれ、受賞者はその年のナンバー1投手の称号と賞金300万円を得る。

 今季は田中将と北海道日本ハム・ダルビッシュ有のパ・リーグを代表する投手ふたりのハイレベルの争いになった。

 データ的には甲乙つけがたい。

   勝敗  防御率  投球回  奪三振  完投
 田中将大  19勝5敗  1.27  226.1  241  14
 ダルビッシュ有  18勝6敗  1.44  232  276  10

 勝敗・勝率・防御率・完投数は田中将が上。投球回・奪三振はダルビッシュが勝っている。両投手が残した数字は最近の沢村賞受賞投手をしのぐものも多く、文句のつけようのない成績だ。そのため特例で2人受賞という案も出たようだが、勝利数・防御率で上まわった田中将が僅差で選考された。この判断は妥当だろう。

 ただし、その後に付け足された注文には首をひねらざるを得ない。5人の選考委員全員が田中将のマウンドでの立ち居振る舞いを問題視し、「派手なガッツポーズや雄叫びを控えるように」との要望を出したのである。

 確かに田中将は感情が表に出るタイプの投手だ。しかし、それが大きな魅力でもある。試合の序盤で相手打線を抑えている時は、クールに淡々と投球する。だが、絶対に打たれてはいけない勝負どころになると表情が一変。目はつり上がり鬼の形相になる。横浜やMLBマリナーズのクローザーとして活躍した佐々木主浩氏はその活躍度や姿かたちから「大魔神」と呼ばれたが、勝負どころで見せる田中将の表情は大魔神以上の迫力がある。