少子高齢化で人口減少が進む日本において、「収入保険料の量的拡大を前提とした現在の保険会社のビジネスモデルは、全体として持続できない可能性がある」とまで、金融庁は行政方針の中で言及している。

 保険会社のビジネスモデルが岐路に立たされていることは、今夏にあった生保業界と金融庁の意見交換会の中でも取り上げられたテーマだった。

 初耳ではないため保険会社に大きな驚きはなかったものの、行政方針の中に盛り込まれたことで、現行のビジネスモデルが生み出す経営の先行き不安の程度は、“狙い撃ち”をしている地銀と同列だということが、より浮き彫りになりかつ広く周知されてしまったのだ。

 改革を促す次のターゲットが保険会社であるかのような文言は、それだけにとどまらない。

 金融庁のある幹部は、行政方針文書の10ページ目にある文言を指差し、「これは主に生保のことを念頭に置いている」と明かす。

 その文言とは「現行の営業体制等を維持しながら(顧客本位の取り組み方針を)実現することが可能かどうか」という部分だ。

「多数の営業担当者を擁し、必ずしも顧客本位ではなく、収益を優先して需要を掘り起こすプッシュ型のビジネスモデルとなっている」とも指摘しており、大手生保であれば万人単位で抱える営業職員について、今後削減することを当局として期待しているかのようにも読める。

 保険業界はこれまで、営業職員や代理店のネットワークが競争力の源泉となり、そのすそ野の広さと集票力がときに大きな政治力として機能することで、金融庁からの圧力をかわしてきた側面がある。

 その金融庁自身も、保険会社の監督業務に携わったことがある幹部が少ないがために、銀行などに比べて踏み込み不足の部分があったことは否めない。

 そうした反省の下、金融庁の新たな行政方針には、保険会社に対する積年の思いが色濃くにじみ出ており、今後改革に向けた圧力は一層強まりそうな気配だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)