横浜ベイスターズがTBSホールディングスからディー・エヌ・エー(DeNA)に譲渡されたが、すんなり「横浜DeNAベイスターズ誕生」とはならない事態が続いている。楽天がDeNAの球界参入を強硬に反対しているからだ。

 ご存じの通り、楽天とDeNAはともにIT企業であり、インターネット通販など競合する部門が多い。また、DeNAは携帯電話向けにゲームや情報などを提供するソーシャル・ネットワーキング・サービス「モバゲー」で業績を伸ばしたが、楽天の関連企業にもこの分野と競合する会社がある。

楽天・GREE連合vsDeNA
球界でIT業界2派の代理戦争!?

 折しも新生横浜の球界参入が話し合われるプロ野球実行委員会(11月22日)の前日、同業者のグリー(GREE)がKDDIとともにDeNAに対し、違法行為によって業務を妨害されたとして約10億5000万円の損害賠償訴訟を起こした。グリーの田中良和社長は元楽天社員で、会社設立の際は楽天から出資も受けている。いわば楽天の身内だ。訴訟によってDeNAのイメージをダウンさせ、球界参入に反対する楽天・三木谷浩史会長の援護射撃をしているという見方さえ出ている。一球団の身売り話が、IT業界2派による仁義なき戦いに発展しているのだ。

 野球協約では参加する12球団の4分の3以上、つまり9球団の賛同があれば、球団譲渡→球界参入が認められることになっている。今回の場合は当事者の横浜を除く11球団で議決されるが、これまで反対しているのは楽天1球団で新生横浜の参入は問題なく承認されると見られていた。

 が、ここにきて巨人が慎重姿勢を取り始めている。横浜の身売り話が取りざたされた時は、巨人の渡辺恒雄球団会長がヨソの球団のことにもかかわらず、「DeNAで決まりだ」などとスポークスマン役を演じていた。最後までモバゲーを“モガベー”と言い間違えるなど軽く見ている様子がありありだったが、参入を歓迎していることは確かだった。だが、白石興二郎・新オーナーは反対の可能性も匂わせ始めたのだ(参入が見送られれば球界再編問題に発展しかねないわけで最終的には認めるだろうが)。