日本企業に採用された外国人が「日本人化」してしまう理由

しばしば「グローバル人材」という言葉が使われる。しかし、これには明確な定義がない。少なくとも、昔のように英語が話せること、アメリカ流の仕事の進め方を理解できる人のことを「グローバル人材」と呼んでいる訳でないことは、明白である。中国在住の筆者が日本企業によるグローバル人材の活用や阻害要因について考えてみた。(ゼロイチ・フード・ラボCEO 藤岡久士)

日本人特有の習慣が
「グローバル化」を妨げている

 私たち日本人は子どもの頃から、「嘘は泥棒のはじまり」といわれ、「嘘をついてはいけない」と植え付けられ育ってきた。また、集団行動や協調性を養うという理由で、「相手の気持ちになって考える」という習慣を身につけてきた。

 実際、この習慣のお陰で物事が円滑に進むことは多く、大人になってからも、その“成功体験”を基に他人や社会と向き合っている。「落とし所を探る」とか「空気を読む」、今年流行りの「忖度する」といった日本人特有の行為も、“単一民族”(むろん、厳密いえば違う)であることに加え、子どもの頃に植え付けられた習慣に起因するところが大きい。

 日本人のこうした習慣が悪いわけではない。

 しかし一方で、実はこの日本人特有の習慣こそが、日本人の「グローバル化」を妨げ、諸外国との相互理解を妨げている側面があるのではないだろうか。

グローバル人材とは
なにか

 近頃よく耳にする「グローバル人材」という言葉だが、その意味をきちんと説明できる人がどれだけいるだろうか。ひと昔前は、アメリカが世界のスタンダードで、単に英語が話せる人間がイコール「グローバル人材」であると、誤った理解をしていた人も多いのではないだろうか。