「つながらない電話の、一体どこがインフラなんですか」

 これは私がいま取り組んでいる、東日本大震災の震災直後の通信・情報メディアの調査レポートの中で、被災者から直接投げかけられた言葉である。

 被災地では「一番通信が必要とされた」震災直後の数週間に、ケータイもネットもメディアも、まったく役に立たなかった。このことをもっと直視して掘り下げることが、通信・メディア産業の将来に資すると考え、震災直後から足繁く現地で調査を続けている。

 しかし、今日の連載は、震災の話ではない。福島第一原発の影は残るものの、表面上は普段通りの生活に戻っている、東京(というより日本全国)の、今日現在の話だ。

「つながらない電話」から「切れる電話」へ

 スマートフォンの普及が進んだ今年になって、とにかくあちこちの消費者から、スマートフォンに関する不満を耳にした。普及が進むということは、不慣れな未経験者にも広がるということ。不満をお持ちの方には申し訳ないが、過渡期的な問題かと思っていた。

 だが、それで片付く話だけでは、どうやらなさそうだ。たとえば「通話中に突然電話が切れる」という症状が、あちこちで耳にされる。すわソフトバンクモバイルのiPhoneの話かと思いきや、私の知人の場合は、通信事業者はNTTドコモ、端末はSamsung Galaxyという。相当メジャーな組み合わせである。

 確かに最近ではNTTドコモの回線も、都心部では朝夕のラッシュ時を中心に、かなりつながりにくくなっている。そんなわけで当初は、この連載でも何度か取り上げた、トラフィック需要の爆発に伴う需給ギャップの拡大や、それを供給側で引き起こす基地局の敷設の問題かと思っていた。

 しかしそうした話でもなく、日中に街中で使っていたら、突然ブチっと切れてしまった、という。いろいろ話を聞いてみると、どうも端末自体が異常終了を起こし、自動的に再起動(リブート)をかけてしまったようだった。